年下男子は恋愛対象になりますか?
「手巻き寿司かぁ」

スーパーの刺身コーナーでセットになってるの見たことあるけど、それを使っても大丈夫かな。好きな具材を個別に用意した方が喜んでくれる?

「手巻き寿司がどうかしたんですか?」

ベランダの窓を開けて中に戻ろうとした時に聞こえてきた声。顔を上げると、玄関で靴を脱いでいる隼人君がいた。

「か、帰ってたんだ。お帰り」

「はい。たった今着いたところです」

独り言以外は聞かれてない……よね?
誕生日に驚かせたいから聞かれてたら困る。

「最近食べてないから食べたいねって美樹と話してたの」

「そうなんですか。じゃあ、明日のお昼は手巻き寿司にします?俺も久しぶりに食べたくなってきました」

「いいね。そうしようか」

流れ的に断ったらおかしいと思ってそう答えた。隼人君の誕生日まで約1ヶ月。作ってくれたものは作りたくないから、手巻き寿司以外で何か考えなきゃ。

「それにしても美樹さんと長電話しすぎですよ。バイト休憩時も話し中でしたし、よくそんなに話すことがありますね」

いけない。色々と相談しすぎちゃった。

「ごめん。これからは気をつけるね?」

「あ、すみません!そういうつもりじゃないんです。俺の部屋からならいくらでも長電話して下さい。その他の場所からだと、美樹さんに少し妬くかもしれませんけど」

笑いながら洗面所へ向かう隼人君。
そのあと隣に座ったと思ったら、軽いキスを何度かしてきた。

「お風呂入らないの?」

「そろそろ一緒に入りませんか?」

「まだダメ」

もう少し待って。
まだ内緒だけど、隼人君の誕生日に入るって決めてるから。
< 561 / 725 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop