年下男子は恋愛対象になりますか?
隼人君の誕生日ということで、考えていたことが他にもあった。それは朝ごはんを作ること。

10月の終わりともなると朝は冷える。
布団の中でぬくぬくしたい気持ちを振り払って、隼人君を起こさないよう着替えてからキッチンに移動した。

「えっと、まずは」

事前に保存していたレシピを開き、なるべく音を立てないように準備する。

コンソメスープの材料を鍋に入れ、次はサンドウィッチ作り。凝ったものは作れないから簡単なもの。中身はレタスとハムとチーズ。

気が付いた時には外が明るくなっていた。
慣れてないから時間がかかるのは想定済だけど、思っていたより遅いペースかも。

「おはようございます。俺も何か手伝いましょうか?」

食パンの耳を包丁で切り終えた時に聞こえた隼人君の声。寝起きのスウェット姿でもカッコいいなんてやっぱりズルいと思う。それに、まだ起きてほしくなかった。

「おはよ。隼人君の誕生日だし、今日ぐらいは私に作らせて」

「とっても嬉しいですけど、そんなに頑張らなくても大丈夫ですよ。昨日も寝たの遅かったんで、俺としてはまだ由夏さんに寝ていてほしいです」

それは、なかなか寝かせてくれなかったせいだよね。

「アドレナリン出てるみたいで全然眠くないから大丈夫」

「2人でやった方が早いですし俺も手伝いますって。何をすればいいですか?」

「もうすぐ終わるから隼人君は好きなことしててよ」

私もだけど隼人君も頑固。
見られてると集中出来ないから、あっちの部屋に移動してほしい。

「手伝うのがダメなら、ここで由夏さんの作ってる姿を見てます」

「それもダメ」

「じゃあ、何か手伝わせて下さい」

食い下がってくれないから、使った食器などの後片付けをお願いすることにした。
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