年下男子は恋愛対象になりますか?
「ちょ、ちょっと待って!お願いだから写真撮るのだけはやめて!撮るならラスクのみにして」

テーブルの上には完成したサンドウィッチとコンソメスープ。と、隼人君がささっと作ってくれた余ったパンの耳を使ったラスク。

スマホを奪おうとしても、隼人君の手が遠ざかるから無理だった。

「何でですか。由夏さんも俺の作った料理撮ったことありますよね?」

「隼人君は上手だからいいの!でも私のはダメ!食べないなら全部食べちゃうからね」

精一杯作ったといえ見栄えが悪すぎる。
記憶だけならともかく、写真として残してほしくない。

「はは、食べきれます?」

「お昼にも食べるから大丈夫。ラップして冷蔵庫にしまってくる」

スマホは諦めて、隼人君の前にあるお皿を奪う。コンソメスープが入ったカップは熱かったから私の前に移動させただけ。

「ちょ、ちょっと待って下さい。食べます!食べますから返して下さい」

焦ってるってことは冗談だと思ってたんだろうな。次に撮りたいって言ったら本当にあげないんだから。

「スマホ遠くに置いてくれたらいいよ?」

「分かりました。だったら由夏さんが持っていて下さい」

苦笑いしながらスマホを渡してくれたので、さっきと同じように隼人君の前に料理を並べた。

「ヘタでごめん。来年はもっと上手に作るから」

「全然ヘタなんかじゃないですよ!誰にでも苦手なことってありますし、本当に無理しなくて大丈夫ですから。でも、今日は俺の為に作ってくれてありがとうございます。嬉しいです」

隼人君に苦手なことなんてあるのかなって思ったけど、嬉しそうにしてくれてる顔を見たら何も言えなくなった。

もっと喜んでもらいたいから、やっぱり頑張ろう。
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