年下男子は恋愛対象になりますか?
「隼人君てお酒飲んだらどうなるの?」

「逆にどうなってほしいですか?」

グラスに口を付けながら意地悪そうに笑った。そう言ってくるってことはやっぱり強いんだよね。

「真っ赤になってフニャフニャしてくれたら可愛いかも」

「それは嫌です。でも、由夏さんはいっぱい飲んで甘えてきて下さいね」

隼人君は可愛いって言われるのを嫌う。
まぁ、他の子の前でそういうふうになられても困るんだけどさ。見たかったな。

「あ、そうだ!ケーキ食べる前に写真撮ろうよ。私のスマホで撮るね」

予約していたのは、甘さ控えめコーヒークリームのロールケーキ。誕生日用にホイップとチョコプレートを追加してもらった。

それを持ってもらって一緒に記念撮影。
部屋着にすっぴんメガネだから、お風呂入る前に撮れば良かったと後悔中。昨日の反省生かされてなさすぎる。

「さっき撮ったのは隼人君に送らないからね?これから私抜きの撮ってあげる」

「何でですか。俺にも送って下さいよ」

「嫌。だって、友達にスマホ見られるかもしれないって前に言ってたじゃん。こんな姿は他の人に見られたくない」

隣に並んで座っていたから、隼人君との距離は近い。嬉しそうに笑ったあとテーブルにケーキを置いた。

「そんな可愛いこと言われると、ケーキ食べる前に由夏さんを食べちゃいたくなったじゃないですか」

「……もしかして酔ってる?」

普段ならこんなこと言わないような気がする。弱いんだとしたら意外かも。

「隼人君のグラス私にちょうだい。無理して飲まなくても良かったのに」

「無理なんてしてないですし酔ってもないですよ。今日ずっと我慢していただけです」

隼人君の顔が近づいてくる。
嫌なわけじゃないんだけど、この流れに乗ったら最終的に寝ちゃう自信があるわけで。

「そ、そういえばさ、ライブ始まる前に何を言おうとしてたの?気になるなら帰りに聞いて下さいって言われてたのに、聞くの忘れちゃってた」
< 604 / 725 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop