年下男子は恋愛対象になりますか?
「おはよ」

「おはようございます」

翌朝9時。玄関ドアが開いて中に入ったら、隼人君に思いっきり抱きしめられた。と同時に漂ってきた甘くて美味しそうな匂い。

「わ、急にどうしたの?」

「来てくれて嬉しいです」

こないだの名前の件本当は覚えていたみたいで、昨日泊まりに行かなかったのは怒ってるからだと勘違いされた。

あの日だって最後までしたし、怒ってたらライブ前に会いに来ないよ。毎日夜に電話して、今だって隼人君と同じで腕時計も身に付けてるのに。

腕をまわして抱きしめ返してみる。
意地悪なこと言われても、やっぱり隼人君のことが好きなわけで。こうしてるだけでも心地いい。

「フレンチトースト作ったんですけど食べます?」

「食べる!隼人君の作ったフレンチトースト好き。手を洗ってくるね」

玄関に備え付けられてるシューズボックスの上には、キーケース付きの鍵が置いてあった。

隼人君が大学の友達からプレゼントされた物。何人かでお金を出しあって買ったらしい。

柄が違うからか被ってショックという気持ちはなくて、誕生日にあげなくて良かったってことと、クリスマスプレゼントを早く買いすぎたって反省してるぐらい。

私が先にあげてたら隼人君の友達も気まずかっただろうし、これで良かったと思ってる。

「美味しー」

作ってくれたフレンチトーストは絶品で、口に入れただけで自然と笑顔になった。堪能している最中に気が付いた隼人君の視線。コーヒー片手に微笑んでる。

「……そんなに見られたら食べづらいんだけど」

「すみません。可愛くて、つい。また作りますね」

結婚式のあと隼人君に会ったら何て言ってくれるかな。何となく恥ずかしくなって、その後はさっきよりも小さく切って食べた。
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