年下男子は恋愛対象になりますか?
「隼人君おかえり」

あれから少しだけ経って、結婚式2日前の木曜日。仕事後、とある場所に寄ってから隼人君の家に来ていた。

いつものように玄関で迎える。
隼人君の機嫌が悪かったのは、あの日1日だけだった。

それ以降は更に優しくなったような気もしていた。前から優しいからうまく説明出来ないんだけど。

「ただいま帰りました。来てくれて嬉しいんですけど、木曜なのに大丈夫なんですか?」

「明日有給取ったんだ。急だけど美樹と式場近くのホテルに泊まることにしたの。邪魔だと思うけどここに置かせて?」

「それは全然大丈夫ですけど、1泊なのに荷物多すぎません?」

いつもより大きいスーツケース。
玄関スペースを結構占領していたけど、嫌な顔せず笑ったまま靴を脱いでいる。

「ドレスとか靴とか小物が入ってるからね。って、ちょっと隼人君!?」

「入ってるなら見せて下さいよ」

部屋に戻ろうとしたら、後ろから抱きしめられた。耳元でそういうふうに喋るのはやめてほしい。

「ダメ。土曜の夜まで待って」

「はは、楽しみにしてます。由夏さん何か付けてます?珍しいですね」

隼人君の唇が首に触れる。くすぐったい。

「特には付けてないけど……。あ、肌スベスベになるって評判の入浴剤かも。持ってきたから隼人君も使ってみる?」

「一緒に入りましょうよ」

「それもダメ」

結婚式に向けて、いくつかの美容グッズを購入していた。フェイスパックや美顔器とかも色々。

「あとね、これ見てほしいの。可愛いでしょ」

隼人君に見えるように両手を挙げる。
ここに来る前、プロにやってもらったネイル。

「……気合い入りすぎじゃないですか?」

少しムッとした声。

「そうかな。隼人君こういうの好きじゃなかった?」

「いや、そういうわけじゃないですけど。ちょっと心配になりました」

「そんな心配しなくて大丈夫だから」

着飾った姿を隼人君に見せると思ったら、色々したくなったの。
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