年下男子は恋愛対象になりますか?
どうしたらいいのか分からなくなって、とりあえず近くにあった漫画喫茶に入った。隼人君のアパートからも近くて、前にも何度か利用したことがあるお店。

個室に入ってスマホを見つめる。
隼人君に確認したほうがいいよね?
理由があるならきっと話してくれるだろうし……

「もし大丈夫なら休憩中に電話してほしい」とメッセージを送ると、しばらくしてスマホが振動した。ここでは話せないので外へ移動する。

『こんばんは。どうしました?こんなお願いしてくるなんて珍しいですね』

いつもと変わらない優しい声。
ホッとしたあと胸がギュっとなる。

「あ、いや、その……。声が聞きたいなって思って」

ダメだ。怖くて聞けない。
平静を装ってるけど心臓はバクバクしっぱなしだった。

『ありがとうございます。俺も由夏さんの声聞きたかったです。結婚式楽しそうでしたね』

「うん、楽しかった。えっと、休憩中にごめん」

『嬉しいんですから謝らないで下さい。何時頃に帰って来れそうですか?』

今は隼人君に会えないよ。
会うなら気持ちを整理してからにしないと、余計なことまで言っちゃいそう。

今日は彩と勇太の結婚式だったし、喧嘩なんてしたくない。

「それがね、急で申し訳ないんだけど……今日はそっちに帰れそうにないの。だから連絡もあんまり出来ないかも」

だから嘘を付いた。
電車の中でメッセージのやり取りしてたけど、地元に帰ってることを話していなかったから付けた嘘。

『そうなんですか、残念です。あ、すみません。休憩時間終わるんでまた連絡しますね』

「ううん、私こそごめんね」

あれだけ言われても見せなかった写真は、このタイミングで共有した。その枚数の多さに笑えたけど、厳選する余裕なんてなくて。

知らない人に言われた「背が高いのはちょっと」という言葉も思い出してしまって、更に落ち込んだ。

ダメだ、ネガティブモードになってる。
< 631 / 725 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop