年下男子は恋愛対象になりますか?
次の日の朝になっても連絡する気分にはなれていなかった。届いていた「早く会いたいです」というメッセージに戸惑う。

私はまだ会いたくない。会えない。
今日は月曜日。私は仕事で隼人君は大学。

昨日と同じで「おはよう」「ごめん」「寝てた」のスタンプを送ると、すぐに電話がかかってきた。寝てると思ってたのに起きてたらしい。

鳴り続ける着信音。
出ないと不自然……だよね?

「もしもし?隼人君おはよー」

明るく振る舞ってみたけど、いつも通りに話せてるかな。お願いだから気が付かないで。

『おはようございます。今、大丈夫でした?由夏さんの声が聞きたくなって電話しちゃいました』

普段と変わらない優しい声。
この声を聞いて真っ先に浮かんだのが、昨日もバイト先にあの子が来ていたのかなということだった。

「うん。少しなら大丈夫」

大学に行ったら、あの子と話すの?
私が嫌だって言ったらどうする?

分かってる。同じ学部なら会って話すこともあるだろうし、そんなこと言われても困るよね。バイトや大学だって辞めてほしいわけじゃない。

『今度の週末、彩さん達にプレゼントした動画観せて下さいね。高校生の頃の由夏さんを見るの楽しみにしてたんです』

「え?」

『はは、もしかして忘れてました?前に約束してくれたじゃないですか。だから俺が由夏さんの家に行った時、小学生と中学生の頃の卒業アルバムしか見せてくれなかったんですよね?』

すっかり忘れてた。
見せるのが恥ずかしくて先延ばしにしてたんだっけ。彩と勇太に渡す用のデータは、帰る前式場スタッフに預けていた。

「あ、うん。今度会った時に見せるね」

金曜日までには普通に会えるようになっている可能性もあるわけで。とにかく、ネガティブモードから早く抜け出さなきゃ。
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