年下男子は恋愛対象になりますか?
12月ということもあって、ショッピングモールはクリスマスモード一色。私が機種変をした携帯ショップも例外ではなかった。

「ごめん。お待たせ」

右手に新しいスマホ、左手にショップの紙袋を持って、入口付近で待っていてくれた隼人君に声をかける。

「いえ、全然待ってないですよ」

さりげなく紙袋を持ってくれたし、隼人君はいつも通りに接してくれていた。手を振り払ったこと、友達と会っていたことに関して何も言ってこない。

今、何を考えてる?
前より分からなくなった気がする。

「どうしました?」

「え?いや、夕飯食べたかなって思って」

いけない、見すぎちゃった。

「家でおでん作ってたんですけど、まだ食べてはないです。由夏さんも食べます?」

「やった!お酒買ってこ。ここからだと結構歩くけどスーパー寄ってもいい?」

隼人君の方を向くと驚いた表情をしていた。
目があったら、すぐに笑顔になったけど。

これって、私が隼人君の家に行くのか遠回しに確かめられたんだよね。避けてたの気が付かれてる。

「もちろん良いですよ。せっかくですし他にも何か買いましょうか」

「甘いものも食べたいかも」

「チョコだったら冷蔵庫に入ってますよ」

それでも何事もなかったように、お互い会話を続けている。いつもと違うのは手を繋いでいないことぐらい。

おでんにつられて返事しちゃったけど、あの時に悩んだ素振りをしてたらどうなってたかな。気まずくなんてなりたくない。

スーパーの敷地に着いた時、私から手を繋いでみた。いつもみたいに恋人繋ぎ。

「ここなら隼人君の友達に見られないよね?」

「そうですね。遊びに行く前には寄らないと思います」

大丈夫。隼人君のことが嫌いになったわけじゃない。さっきは手を繋ぐのが恥ずかしかっただけ。

痛くない程度にギュッと握り返してくれた。
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