年下男子は恋愛対象になりますか?
「隼人君も水飲んだ方がいーよ。あっちは私が飲むからちょーだい」

「いやいや、気持ち悪いのに飲んだらダメですって。もう寝た方がいいですよ」

テーブルの上に置いてある缶を指差して、ペットボトルを渡そうとしたのに受け取ってもらえなかった。どれくらい飲んだんだろ。大丈夫かな。

「……じゃあ、一緒に寝よ?そしたら寝れる気がする」

かなり困った表情をされたけど、少し経ってから入ってきてくれた。私から誘ったものの気まずかったので壁側を向いて横になる。

すると、後ろから抱きしめられた。
まだ酔っぱらったわけじゃない……よね?

「すみません。嫌なら離れますから」

「ううん。嫌じゃない」

手を繋がれた時やキスされそうになった時は、体が勝手に反応しただけ。くっつきたい気持ちもあるし嫌なわけじゃない。

「好きです。大好きです」

「うん」

いつもだったら「私も」って返してるのに、今はどうしても言えなかった。抱きしめられている腕に力が入る。

隼人君が好き。好きだよ。
でも、1週間前の好きとはちょっと違う。
だから言えない。





「……隼人君?」

しばらく続いていた無言。
気になって名前を読んでみても返事がない。寝たのかな。

隼人君の体温は心地いいけど眠れそうになかったので、抱きしめられている腕を動かしてみた。起こさないようにゆっくりと。

部屋も明るいままだから電気消したいし、出来ることなら追加でお酒飲みたい。

「うーん、由夏?」

後ろからボソッと聞こえた声に心臓が跳ねあがる。だって、今……

「は、隼人君!?」

「離れたらやだ」

腕が戻されて再びギュッと抱きしめられた。
あのお酒の度数高かったし、多分酔っぱらってる。

酔っぱらってると思うんだけど、突然の呼び捨てとタメ語は破壊力ありすぎでしょ……!
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