年下男子は恋愛対象になりますか?
そのあとは結局何も言われなかった。
酔っぱらってたうえに寝ぼけてたのかも。
あんなふうになるなんて意外だったな。

私はというと、お酒の力を借りても眠れそうになかった。1人でいる時よりも長く感じた夜。





「うわぁ」

いつの間にか寝ちゃっていたみたいで、目を開けると隼人君の顔が至近距離にあった。驚きすぎて後頭部が壁にぶつかる。痛い。

もー、何でこっちを向いて寝ちゃうかな。
変な声出ちゃったけど起きてない……よね?

私は休みだから別にいい。
隼人君はバイトだろうから、ゆっくり寝てもらいたい。

あの日から今日で一週間。
今日も行くのかな。行くよね。
あぁ、やっぱりダメだ。モヤモヤする。

今の時間が分からなかったけど、カーテンの隙間から日差しが漏れているので起きることにした。起こさないように慎重にベッドから降りてキッチンに向かう。

おでんが入っている鍋を火にかけた。
二日酔いだったら食べられないだろうけど一応。

あの子と会ってた理由聞かなきゃダメかな。
出来ることなら聞きたくない。
でも、聞かないと前に進めない気もする。

「どうするのが正解なんだろ。分かんないや」

洗濯機のスイッチを押したあとは、ソファーに移動してワイヤレスイヤホンを装着した。カバーも付いていないピカピカのスマホを操作する。

美樹に夜会えるかメッセージを送ったら、すぐに返事が届いた。

“ごめん、今日は無理。土曜日は隼人君の家に泊まってるんじゃなかったっけ?”

“そっか。急にごめんね。隼人君は忙しいみたいで暇になったの。ライブ仲間に聞いてみる。また遊ぼー”

予定あるなら余計な心配かけたくなくて、美樹にも嘘を付いた。ごめん、今度会った時ちゃんと話すから。

グループメッセージで今夜暇な人がいるか尋ねてみる。晴香から「暇だよ」って届いたので、夜に東京行くことが決定した。

今日は隼人君の家には泊まらない。
こんな気持ちのままじゃ泊まれない。
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