年下男子は恋愛対象になりますか?
土曜日の朝。いや、何時か分からないから多分午前中。目が覚めると美樹がライブDVDを観ながらスマホをいじっていた。

「おはよ」

掛け布団を少しだけずらして、横になったまま声をかける。

「あ、起きたー?ゆっくり眠れたみたいで良かったじゃん」

「おかげさまで。でもまだ眠い」

月曜から金曜まで毎日カラオケに付き合ってくれて、昨日はそのまま泊まりに来てくれていた。私も体力ある方だと思っていたけど美樹には敵わない。元気すぎる。

何時に起きたんだろ?
っていうか今何時?

「勝手に過ごしてるから好きなだけ寝てていいよ」

「ありがと。あ、何か食べる?飲み物も適当に持ってくるね」

「ご心配なく。洗面所借りたあと下で朝ごはんご馳走になったから。少し前に夫婦で出掛けたけど、食べるか分からないから由夏の分は用意してないってさ」

学生の頃から頻繁に泊まっていることもあって、美樹は母親とも仲が良かった。実の娘には優しくないけど、遊び歩いてるから仕方ない。

「りょーかい。コーヒー飲みたいからコンビニでも行こうかな」

「まだ眠いんでしょ?私が行こうか」

「大丈夫。身支度してる間に欲しいもの考えといて」

あれから家に居る時はずっとスマホの電源を切っている。隼人君からの連絡はないだろうけど、一応。

勉強机の上に置いてある時計を見て、今が11時過ぎなのを知った。

「お昼どうする?美樹お腹空いてる?」

「んー、まだ空いてない。そういえば、佑介が夜に焼肉奢ってくれるって言ってるんだけどどうする?」

私が美樹を独り占めしちゃってるし、佑介だって自分の彼女に会いたいよね。

「佑介の他に誰も来ないなら行く」

「オッケー。高級なお店にしてってお願いしとこ」

パーカーとジーパンに、すっぴんメガネというラフな格好で家を出た。持ち物は財布のみ。

コンビニまで徒歩数分。
駐車場に足を踏み入れると、イートインコーナーに会いたくなかった人の姿が見えた。
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