年下男子は恋愛対象になりますか?
隼人君の姿を見ただけで胸がザワついた。
スマホをいじっていて、私にはまだ気が付いていない。

どうする?今のうちに帰る?
前に喧嘩した時は連絡すらしてこなかったのに、何で……

足を止めてそんなことを考えていたら、顔を上げた隼人君と目が合った。勢いよく立ち上がってたし、きっとバレた。

ここで帰ったら追いかけてくるかな。
近所だし変な噂が流れても困る。

笑おうと思ったけど無理だった。
今まで通り付き合うには私が大人になるしかないって分かっていても難しくて。

「由夏さん、来てくれたんですね!」

上着とカップを持って外に出てきた。
寒いんだから着てから出てくればいいのに。

「別に隼人君に会いに来たわけじゃないよ。コンビニに用があっただけ」

「でもスマホ見たから来てくれたんですよね!?」

「……見てない」

別れるつもりは今のところないけど、まだ会いたくなかった。隼人君が来てるって知ってたら来なかったよ。

「コーヒー飲みます?俺、買ってきます」

「自分で買うからいい。お金おろしたいから座って待ってて」

一緒に中に入った隼人君を促す。
お昼にはまだ早いからか店内は空いていて、イートインスペースには誰も居なかった。

「……分かりました」

だから隼人君が落ち込まないでよ。
私だって好きでこんな態度とってるわけじゃない。

わざわざ会いに来たってことは、あの子との決着がついたんだよね?
そうじゃなかったら関係が悪化するかもしれないよ?

「お待たせ。ここじゃ落ち着いて話せないからウチ来る?美樹いるけど、それでも良かったら」

「……美樹さんに迷惑じゃないですかね」

「じゃあ帰る?」

小さな声で「行きます」と言ったので、ホットコーヒーを3つ買ってから家へと向かった。無言で歩いている時間が気まずい。

スマホなくて美樹に連絡出来ないから、隼人君を見たら驚くだろうな。ごめん。
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