年下男子は恋愛対象になりますか?
会計を終えて近くのお店を見てまわっている時も、結局手は繋げていないままだった。繋ごうと思ってやめる。その繰り返し。

「結構歩きましたし、少し休憩しませんか?」

「そうだね。あのお店にする?」

「いえ、あの、由夏さんが良ければなんですけど」

エスカレーターで1階に下りていた時、目に入ってきたカフェチェーン店。てっきりそこだと思ったのに違ったらしい。



「どっちにするか決まりました?」

「あ、ごめん!もう少し待って」

隼人君が行きたかったお店は、さっきの場所から歩いて数分のところにある別のチェーン店だった。駅ナカなこともあって混んでいる。

「迷ってるなら両方買って、気に入った方を由夏さんが飲むっていうのはどうですか?」

「どっちもかなり甘いだろうし、隼人君が無理することないよ。気持ちだけ貰っとくね、ありがと」

店の外にある看板前。
抹茶とホワイトチョコレートのクリスマス限定ドリンクにするのは決まっていたけど、ホットにするかフラペチーノにするか悩んでいた。

第1弾のドリンクを先月飲んだ時、次も楽しみって言ったからこのお店にしてくれたんだと思う。昨日のカフェもそうだけど、私が何気なく言ったことを覚えてくれている。

隼人君のそういうところ好き。
ほら、やっぱり嫌いになんてなってない。

今なら手を繋げるかも。
そう思って、チラッと横を見てみたら目が合った。

「ちょ、ちょっとトイレ行ってくるね。その間にどっちにするか決めてくる」

「はは、ゆっくりで大丈夫ですよ」

今の笑い方も好き。
戻っても今と同じ気持ちだったら手を繋いでみよう。大丈夫、前向きになれてる。
今ならきっと───

「こんにちはー。隼人の彼女さんですよね?こんなところで会うなんて偶然ですね。あ、私のこと分かります?隼人と同じ大学に通ってるんですけど、名前は松田瑞穂って言います」

突然話しかけれた明るい声に、感情が大きく揺さぶられた。絶対に会いたくない子だったから。
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