年下男子は恋愛対象になりますか?
「トイレであの子に話しかけられたの。隼人、隼人って何回も言ってた。よっぽど隼人君のこと好きなんだろうね」

助手席を見ないまま、飲みかけのフラペチーノをストローでぐるぐる混ぜていく。

「なっ、由夏さんに嫌な思いさせてしまって本当にすみません!大丈夫ですか!?」

何それ。ちっとも大丈夫なんかじゃないよ。
数えきれないぐらい何度も自分に言い聞かせて、そう思わないようにしてきただけ。

「大丈夫なわけない、じゃん」

力ない笑みがこぼれてくる。
あぁ、もうダメかも。

「こんなこと言いたくないけどさ、隼人君が曖昧な態度取ってるからいけないんじゃないかな?作り笑顔とはいえ、楽しそうに会話してくれたら期待しちゃうでしょ。だから、あんな条件のんでほしくなかった。そうじゃなかったら今頃テーマパークにいたはずなのに」

結婚式に着ていったドレス姿だってそう。
私にも悪いところあったかもしれないけど、隼人君のせいだって気持ちが消えていなかった。

「……すみません」

「やめて。謝らないで。ねぇ、私のこと好きって思ってくれてるなら、あの子のことどうにかしてよ」

クセの強い子みたいだし、大変そうなのも分かるよ。分かるけど、そこは嘘でも「分かりました」って即答してよ。それはそれで何か言い返しちゃうかもしれないけど。

「ごめん、この問題が解決するまでやっぱり会えそうにないや」

「……っ、俺は会いたいです」

震える声で隼人君がボソッと言った。
私だって前みたいに過ごしたい。間違った選択だったかもしれないけど、そうなるよう頑張った。

「じゃあ決着ついたら連絡して。今日はもう帰ろ。あの子に会ってほしくないから送るね」

感情的にならないよう気を付けてたのに、最後に余計なことまで言ってしまった。大人になんてなれそうにない。無理。
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