年下男子は恋愛対象になりますか?
ドラッグストアまでの車内は、今までで一番最悪の雰囲気だったと思う。控えめに流している曲がいつもより聴こえていた。

「今日は買い物に付き合ってくれてありがと。ここまで一方的に送ってきちゃったけど、好きに出かけてくれて大丈夫だから」

駐車場に着いても降りる様子がなかったから声をかけた。あれから頑なに隼人君の顔は見ていない。

「……降りないの?」

「由夏さんと話がしたい、です」

あの子の前で笑顔でいたのも、さっき手を繋いだのも全部見せつける為。思い通りになんかさせないって意思表示だったのに。

でも、こんな状況で一緒に過ごせるわけがなくて。先週より悪化してるよね、これ。

「隼人君が先に話すべき相手は私じゃなくてあの子じゃないかな。それに、このまま話していてもお互い良いことないと思うよ」

本当は話してほしくなんかないけど、こればかりは仕方がない。お願いだから早く決着つけてきて。

「明日!明日はっきり迷惑だって言いますから!今度こそ諦めてもらいます!」

「うん、そっか。もし諦めることを理由にして何か条件出されても、絶対にのんじゃダメだからね?そんなことしたら即別れる」

「はい!絶対にのみません!」

勢いよく答えてくれた隼人君。
あの子簡単には諦めてくれなさそうだけど、その場合はどうするんだろう。って、私が考えても意味ないか。

今日は12月中旬。クリスマスは楽しく過ごせるかな。プレゼントしてくれる予定の指輪は笑顔で受け取りたい。

「うん。じゃあ、またね」

「また連絡します!今日は……ありがとうございました」

パタンとドアの閉まる音がして、車内には私一人きり。そのあとはスマホをいじってアパートに着くまでの時間を潰していた。

帰りに本屋に寄ってゲームの攻略本を買い、家に帰ってから早速やってみる。思っていたよりも夢中になれた。
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