年下男子は恋愛対象になりますか?
見付からなかったら電話しようと思ってたけど、遠くからでも隼人君の姿が分かった。

大きなクリスマスツリー付近にある階段で俯いて座っている。会ったら普通に声をかけるって決めてたんだ。「ごめんね、お待たせ」って。

「ねー、ねー、お兄さん。1時間以上そうしてるけど、もしかして約束すっぽかされちゃった?暇だったら私達と遊ぼうよー」

近くまで行って声をかけようとした時だった。私より先に女の子2人組に声をかけられていた隼人君。咄嗟に振り返り、そう遠くない場所に慌てて座る。

「ねー、お兄さんってば聞いてる?」

もうやだ、何でこのタイミングで居合わせちゃうかな。隼人君はモテるのだと嫌でも痛感する時間。

今までも気にしない素振りはしてきたけど、目の当たりにすると自信をなくすよ。私は可愛くなんてないし、隼人君と釣り合ってないんじゃないかって。

ただでさえあの子のことが頭から離れないのに、他の女の子に言い寄られてる姿なんて見たくない。

「イケメンでもシカトする奴なんて無理だし。ムカつくから行こ」

女の子達がいなくなっても声をかけることが出来なかった。ダメだ、ネガティブモードになってる。どうにかしなきゃ。どうにか……

そんな時、隼人君から電話がかかってきた。
マナーモードを解除していたので着信音が鳴り響く。

慌てて消そうとするも、次の瞬間目の前に人が立った気配がした。その後すぐ鳴りやんだ音。

「……何で声をかけてくれないんですか?」

その声に胸がギュっとなる。
ダメだ、顔をあげられそうにない。

「いやー、可愛い子だったし邪魔しちゃ悪いかなって思って」

「勘弁して下さいよ……。由夏さんと約束してるのに、ついていくわけないじゃないですか」

約束してなかったらついてくの?
そう思ってしまった自分が嫌い。
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