年下男子は恋愛対象になりますか?
頑張っても笑うことが出来なくて、そうこうしてる間に顔を覗かれてしまった。やだ、見ないで。隼人君は悲しそうな顔をしていて、私はというと必死に笑おうとしていた。

「由」
「移動しよっか。遅くなっちゃってごめんね」

周りは幸せそうな人達で溢れている。
私がもっと大人になれてたら、あの人達と同じように過ごせてたのかな。

隣に並んで歩いているとお互いの手が軽く触れた。指先に緊張が走る。外はこんなに寒いのに隼人君の手は温かかった。というか熱かった。

って、ちょっと待って。
手を繋いで確認してみるもやっぱり熱い。

「は、隼人君もしかして……」

横を向くと弱々しく微笑まれた。
いやいやいや、これは笑ってる場合じゃないよ。頬とおでこを触って確信する。

「熱あるよね!?」

そういえば、隼人君に声をかけてた子が1時間以上いるって言ってたような……

「これくらい平気ですよ」

「いや、かなり熱いし大丈夫なわけないじゃん。もしかしてかなり前から待ってた!?」

「どうでしょう。忘れちゃいました」

その言い方は待ってたに違いない。
残業で遅くなった私も悪いけど、体調悪いなら無理しないでほしかったよ。

「病院……って、この時間じゃ救急しかやってないか。保険証持ってる?」

「家です。それに病院だなんて大げさですよ」

「とりあえず保険証取りに行こう。そのあと病院ね」

コートを着ていても首まわりが寒そうに見えたので、私がしていたマフラーを外してグルグル巻き付ける。

コインパーキングの駐車場近くにあった自動販売機でスポーツドリンクを買い、助手席に座った隼人君に渡した。

「他に欲しいものあったら言ってね」

「由夏さんが傍にいてくれるなら何もいらないです」

「もう、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。今は体調が最優先だからね」

約束していたせいで無理させちゃったのかも。
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