年下男子は恋愛対象になりますか?
朝早く起きてスマホをチェックしてみても、隼人君からの連絡はなかった。体調が良いのか悪いのか分からなかったから、すぐに支度して車を走らせる。

大丈夫。不安になることなんてない。
今は余計なこと考えない。

音を立てないように鍵をあけた。ドアの開閉もいつになく慎重に。そこにあったのは見覚えのある靴のみ。

「お邪魔します」と呟き、中に入る。
遮光カーテンの隙間から漏れる光を頼りに歩いていくと、横向きで寝ている姿が見えた。

おでこに貼ってある冷却シートがぬるくなっている。昨日よりは下がってる気がするけど、実際のところどうだろう。

「ん」

急いで退かそうとしたけど、手首を掴まれて動かせなかった。ゆっくりと目を開けた隼人君とぶつかる視線。

「由夏さんの手、気持ちいいです。もう少しこのままでいてくれませんか」

手袋してこなかったから冷たいはずのに、そう言うってことはまだ熱があるのかも。その他の症状は今のところなさそうだけど。

「ごめんね、起こしちゃった」

「来てくれて嬉しいんですから謝らないで下さい」

少し経ってから、もう片方の手でベッドサイドに置いてある体温計を取った。そして隼人君に手渡した。

「体調どう?熱下がってるといいね」

「だいぶ良いので下がってると思いますよ」

ピピピと電子音が鳴って体温計を確認すると37度前半だった。下がっているのに悲しそうな表情を浮かべている。昨日と同じく、気が付かないふりをした。

「朝ごはん作ろうと思うんだけど、お粥とうどんどっちが良い?それとも他に食べたいものある?」

「作ってくれるんですか!由夏さんの食べたい方で大丈夫です。まだ食べてないですよね?」

「じゃあ、どっちになるかお楽しみってことで。その前に洗濯しちゃうから、洗う物あったら出してね」

シャワーを浴びに行ってる間に洗濯機のスイッチを入れた。悩んだ結果、作ることにしたのは卵とじうどん。

あの子は料理上手なのかな。
……あぁ、もう。 本当にやだ。
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