年下男子は恋愛対象になりますか?
初期設定のままのホーム画面が視界に入る。
付き合ってからロックしているのを見たことないし、隠れて操作することもなかったから、やましいことはないと思う。

前にアルバムを見せてもらった時は、一緒に撮った写真や、私が送ったものばっかりだった。子猫時代からのクロちゃんも大量にあったっけ。友達とはあまり撮らないみたいで、少なかったのを覚えてる。

「やめてよ。そういうことしたいわけじゃないの」

「通話履歴やメッセージアプリはもちろん、スマホの中を隅々まで確認してもらって大丈夫です!夏からブロックしていて、アイツとは一度もやり取りはしていません!」

でも直接話したんだよね。
1回だけじゃなく何回も。しかも笑顔で。

スマホ見ちゃったら会うたびにチェックしたくなるかもしれない。それに、データ消去が出来るわけで。

「いや、うん。分かったからしまって?リンゴでも食べようか。皮剥いてくる」

「俺がやります!」

「やだなぁ、体調悪いのにやってもらうわけないじゃん。早く治さないと年末年始どこにも行けなくなっちゃうよ?隼人君の行きたい場所に行こうね」

相変わらず包丁使いは下手なままだった。
真剣に剥いたのに、お皿の上に乗ってるのは歪な形のリンゴ。

未だに大人になれていないし、私に良いところなんてない気もしてきた。隼人君は笑った顔に一目惚れしてくれたらしいけど、しばらく上手に笑えてない。

キッチンから部屋に戻ると、うつ向きながらソファーに座っていた。さっき受け取らなかったスマホは、テーブルの上に置いてある。

「はい、どーぞ。お昼食べたくなったら言ってね?」

「ありがとうございます。あの、俺の体調がよくなったら一緒に買い物行ってくれませんか?」

「いいよ。何か欲しい物あるの?」

「……由夏さんへのクリスマスプレゼント買いに行きたいんです。ずっと考えてたんですけど、何をあげたら喜んでくれるのか分からなくて。なので、選んでもらえませんか?」

隣で暗い顔をしている。
指輪の話題を避けられそうになくて、質問したことを後悔した。
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