年下男子は恋愛対象になりますか?
大学とバイトある日は会えないと言ってしまっていたので、用事があると嘘ついたこともバレているようだった。

体調が悪かったら、心配で明日もきっと来る。
でも元気になったのなら───

「もー、何言ってるの。体調よくならないとどこにも行けなくなるよ?それでも良いの?」

「それは困ります。変なこと聞いてすみませんでした」

楽しく過ごすって難しい。
こうなる前はどうしてたんだっけ。

そのあとは冷凍してある野菜や挽肉を使って、具沢山スープを作ってくれていた。隣で眺めているだけで手伝ってすらいない私。洗い物をしようと待っているのに、まだ何も出てこなかった。

漂ってきた美味しそうな匂い。
久しぶりに見たキッチンでの横顔。

「料理してる姿、やっぱり好きだな」

嫌いになったわけじゃない。
ネガティブ思考から抜け出せなくなってるだけ。それがかなり厄介なんだけど。

「本当ですか!?」

「え?……え!?ご、ごめん。今のは忘れて、お願い」

心の中で言ったつもりが、急にこっちを向かれて恥ずかしくなった。顔が熱くなったのも久しぶりで、思わず目を逸らす。

「忘れるわけないじゃないですか。そんなこと言わないで下さい」

「だって体調万全じゃないのに作ってもらってるし、それに……昼間あんなこと言っちゃったし」

「時間が経つにつれ元気になってきてますよ。それ以外にも由夏さんが気にすることなんて全くないです。むしろ、そう思ってくれて嬉しいです」

隼人君の声は優しいままだった。
私が楽しく過ごしたいって言ったから、合わせてくれてるんだよね。

「でも」

「主食系はどうしましょうか?何か食べたいものあります?」

「隼人君の食べられそうなもので大丈夫だよ」

笑ってみせると同じように返してくれた。
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