年下男子は恋愛対象になりますか?
無意識に周りを確認してしまった。
大丈夫と思おうとしていても、やっぱり頭から離れない。もう、本当にやだ。

「先輩?どうかしました?」

「ごめん、何でもない。えっと……隼人君の友達なの?そのバンド好きな子がいるなんて知らなかったな」

「まぁ、そんな感じですかね。会えて良かったです」

その答え方に違和感を覚えたけど、先輩にもうすぐ時間だと言われたこともあって、会話はそれで終了した。会釈されたから同じように返して店を出る。



***



「由夏さん!」

目の前にタクシーが停まった。
降りてきたのは、こないだプレゼントしたマフラーと手袋を身に付けてくれている隼人君。

もうすぐ日付が変わって1時間が経つというのに、隼人君の友達と会ったとメッセージを送ったらわざわざ来てくれることになった。

「遅い時間にごめんね」

「いえ、全然大丈夫です」

嫌な顔せず微笑んでくれたからか、一緒にいた後輩がニヤニヤしている。先輩や他の人達とは既に解散済み。

「こんばんはー、お久しぶりです。先輩のこと長い時間独占しちゃってすみません。彼氏が来たらすぐに帰るんで、それまでご一緒させて下さい。きゃ」

「わ、大丈夫?」

カラオケでも飲んでいたこともあって、足元がふらついている。転びそうになったのを咄嗟に支えたけどおぼつかない。

「俺、水買ってきましょうか?そこのコンビニ行ってくるんで、由夏さんも何か欲しいものあったら言って下さい」

「ありがとうございますー!先輩の彼氏さんはやっぱり優しいですね。でも、大丈夫です。お気持ちだけ頂きます」

「隼人君、ごめん。荷物持ってもらえたりする?座ってる方が楽だろうし、私の車まで連れていく」

「もちろんです」

隼人君が2人分の鞄を持ってくれたから、しっかり支えたあとコインパーキングを目指して歩いた。

「ここで待ってるんで大丈夫ですってー。先輩は私のことは気にせず、彼氏さんとラブラブしていて下さい」

「もー、何言ってんの」

助手席に座らせると、隼人君が後輩に水を渡していた。途中にあった自動販売機で買ってくれたらしい。
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