年下男子は恋愛対象になりますか?
「そういえば帰りにコンビニ寄ってなかったですよね。すみません、必要な物あったら俺が買ってきます」

マグカップをテーブルに置いてくれた時、隼人君が申し訳なさそうに言った。

「ううん、最低限の物は持ってきてるから大丈夫。でも服だけ貸してくれない?いつもごめんね」

「それは全然大丈夫です!泊まる準備、してくれてたんですね」

熱々のコーヒーに息を吹きかけながら、隼人君のクシャっと笑った顔を見る。私もちゃんと笑えてるかな。

今飲んでいるものは、いつものと違う。
プラネタリウムで買ったオリジナルブレンド。有名な珈琲店が監修していることもあって美味しい。

ここも東京だと思えたらいいのに。
誰かに会うこともないし、不安になることなんてないんだから。

それなのに、心の中のどこかで「待て」がかかる。



「お風呂ありがと」

借りたスウェットに身を包み、髪をタオルで吹きながら部屋に戻る。洗面所で乾かしてこなかったのは、ドライヤーがなかったから。

ソファーに座って、星空の動画をテレビで観ていた隼人君。

前に買ったぬいぐるみの隣に、チンアナゴとニシキアナゴのぬいぐるみが飾ってあることに気が付いた。テーブルの上にドライヤーが置いてあることも。

隼人君のオシャレな部屋に似合わない、可愛い物が増えていく。

「嫌じゃなければ俺にやらせて下さい」

「ありがと。私も後で乾かしてあげる」

嫌じゃない。隼人君に髪を乾かしてもらうの好きだよ。料理をしている姿も、ハハッて笑う姿も。

動画とはいえ、星空を観ながら乾かしてもらう時間はとっても贅沢だった。

「綺麗だね」

「はい。いつか本物を見に行きましょう」

「プラネタリウムじゃなくて?見たら感動して泣いちゃうかも」

隼人君と見に行けたら楽しいと思う。
その為には大人にならなきゃ。何も気にならないぐらい余裕のある大人に。
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