年下男子は恋愛対象になりますか?
頬にポツッと冷たい感触がして目を開ける。
髪が濡れたままの隼人君の姿が見えたと思ったら、次の瞬間フワッと体が浮いた。

「え!?やだ、何、怖い」

初めての感覚に、隼人君の肩に抱きつく。
この場合、しがみつくと言った方が正しいかもしれない。

「すみません、起こしちゃいましたね。少しだけ我慢していて下さい」

背中と膝裏を支えられながら持ち上げられていて、お姫様抱っこをされているのだと気が付くまで少し時間がかかってしました。

移動先はベッド。
ソファーに座りながら星空の動画を観ていて、途中で隼人君がお風呂に入ってくると言ったのは覚えている。

髪の毛乾かしてあげるって言ったのに、先に寝ちゃってたなんて。

「重いだろうし、抱っこじゃなくて起こしてほしかった……!」

「重くなんてないですよ。それに、起こしたらソファーから動いてくれないと思ったんで」

優しい声が聞こえてくる。
私はというと、ベッドにおろしてもらったのにも関わらず、混乱からか隼人君に抱きついたままだった。

「隼人君はベッドで寝ないとダメだからね!?」

「ダメです。由夏さんが使って下さい」

「やだ!」

「俺も嫌です」

「じゃあ、隼人君が寝たあと同じようにベッドまで移動させる!」

「はは、それは無理だと思いますよ?俺のことは気にせず寝て下さい」

ポンポンと頭を優しく叩かれた。
まるで小さい子をあやすみたいに。

「…………じゃあ、じゃんけん」

「俺が負けそうな気がするので嫌です」

私だって隼人君にベッドで寝てもらいたい。
でも、このままだと絶対寝てくれない。無理やりソファーで寝たとしても、また移動させられる。

体調崩してからそんなに経ってないし、ちゃんとした場所で寝てほしいのに。

「………………じゃあ、今日は隼人君と一緒に寝る」
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