年下男子は恋愛対象になりますか?
「……無理しなくても大丈夫ですよ。今は寝ぼけてるだけでしょうし、由夏さんが本当に一緒に寝たいって思ってくれる日を待ちますから」

「寝ぼけてない。一緒に寝る」

「遠出して疲れましたよね。寝て下さい」

隼人君の声はずっと優しいまま。
それなのにズキンと胸が痛んだ。

勇気を出して言ったこと。
断わられるとは思わなかった、な。

今は抱きついているから顔は見られていないけど、離れたあとが問題なわけで。今は見られたくない。

「…………じゃあ、部屋を暗くしてくれる?」

ピッと音が鳴ったあと暗くなる。
ゆっくりと離れて横になると、頭を撫でられた。声だけじゃなくて手まで優しい。

「おやすみなさい」

「おやすみ」

髪の毛乾かしてあげるって言えなかったし、色々とうまくいかない。このあとは、なかなか寝付けずにいた。







隼人君が起きた気配がして目が覚めた。
カーテンの隙間から日差しが入り込んでいるけど、スマホを確認してみるとまだ7時前だった。

寝たのが遅かったはずなのに、こんなに早く起きたってことはあまり寝れてないのかも。

「おはよ」

「おはようございます。すみません、今朝も起こしちゃいましたね」

キッチンで大根を洗っている。
その奥には人参と椎茸が置いてあるのが見えた。

「ううん、大丈夫。手伝うよ。何すればいい?」

「ありがとうございます。でも、まだ由夏さんはまだ寝ていて下さい」

昨日と同じく優しい声。表情も。

「何を作るの?」

「お雑煮です。とは言っても、お餅なかったんで作り終わってからコンビニ行ってきますね」

「それなら私買ってくるよ」

「すみません、そういう意味で言ったんじゃないんです。行くなら一緒に行きましょう」

こういう時の隼人君は意見を曲げない。
1人で行くのを諦めて、洗濯することにした。
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