年下男子は恋愛対象になりますか?
【42】距離を縮めるには
翌朝の1月2日も良い天気だった。
今は約束の時間──9時に間に合うよう、隼人君の家まで車で向かっているところ。

「おはよ」

「おはようございます」

チャイムを鳴らすと、いつもと変わらない笑顔で出迎えてくれた。同時に、昨日の帰り際のことを思い出す。



『ずっと考えてるんですけど、料理をしたり、ハハッて笑う以外に、どうしたらもっと好きになってもらえますか!?俺はどうしたらいいですか!?』

『えっと』

『…………楽しく過ごすって決めていたのに、変なこと言ってすみませんでした。バス停まで送りますね』



私が大人になればいいと思っていたこともあって、返答に困る質問で。それを隼人君が察したのか、この話題はこれで終わりになった。

今はお互い何事もなかったように過ごしているけど、このままじゃダメだよね。

「朝ごはん食べました?」

「ううん、まだ。初詣行く前にコンビニでも寄ろうか?」

これから行く場所は隣町にある神社。
公共交通機関で行くには不便で、ほとんどの人が車やバイクで来ている。

だから、周辺道路は渋滞していた。

「運転ありがとうございました。これ食べて下さい」

「ありがと。このチョコ好きだから嬉しい」

駐車場に停めてシートベルトを外した時、隼人君が個包装になっているチョコレートを渡してくれた。ここに来る前に買っていた冬季限定のもの。

口の中で溶けて、甘さが広がっていく。
幸せな時間。

外に出ると、駐車場の入り口辺りまで参拝列が伸びていた。パッと見た感じ家族連れが多い。

大学生らしきっぽい子達は……
って、ダメ。あんまり周りを見ないようにしなきゃ。

「並んじゃって大丈夫?」

「もちろんです」

これからどうしたらいいのか、神様に聞いたら教えてくれるのかな。出来ることならヒントだけでも教えてほしい。
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