【番外編】円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
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「うわあぁぁぁっ!助けてくれ~~~っ!!」
助けを求めるコンドルの足は、完全に地面を離れて浮いている。
「何やってるのよ!コンドルの馬鹿っ!」
慌てて飼育小屋まで走って戻った。
あの人、一体何回グリフォンに連れ去られそうになったら気が済むのかしら。
また胸を晒す作戦が成功するだろうか…そう思いながら、飼育小屋の屋根に上る方法を探す。
「おろせ~!おろしてくれ~っ!!」
コンドルはグリフォンに懇願しているが、聞き入れてくれるはずもないだろう。
そう思っていたら、なんとグリフォンはコンドルの言葉に従って彼を地面におろし、腰が抜けてへたり込んでいるコンドルの肩に頭をすり寄せている。
ルシードによると、突然バサバサという羽音が聞こえたと思ったらグリフォンがいて、あっという間にコンドルが捕まってしまったんだとか。
「なんか、コンドルさん、グリフォンに好かれてない?」
「ええ、間違いないわね」
ルシードの見解に大きく頷いた。
グリフォンにモテモテ…さすが人間離れしたコンドルと言うべきか。
もしかすると、騎士団の野外訓練でグリフォンに襲われた時も、あの子はコンドルと遊びたかったのかもしれない……さらに飛躍的な妄想にはなってしまうけれど、この目の前にいるグリフォンって、あの時のあの子だったりして!?