【番外編】円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
機転を利かせてくれたカインにより、わたしとルシードは王太子の密命から帰還したところということになっていて、特別な計らいで門を開けてもらい、夕食も用意してもらえた。
遅めの夕食をかきこむと、ルシードはすぐにマーガレットへのプレゼントの製作に取り掛かると言ってレッドリザードの尻尾を抱えて出て行った。
ほかに誰もいない食堂で、マーガレットもこの場にいないため、ようやく今回の件について残りの三人にネタばらしすると、
「なあんだ、略奪の意味が全然違うじゃないの」
とリリーが呆れ、レイナード様とカインは急に脱力して上体を背もたれに預けた。
レイナード様がひどく取り乱していたのは、わたしがレイナード様との婚約破棄を狙って、ルシードと「既成事実」を作るために逃げ出した挙句、赤ちゃんを連れて帰って来たと勘違いしたためだと聞かされて、今度はわたしのほうが驚いた。
何でそうなるの!?
ゴソゴソ動く麻袋の中身がレッドリザードの尻尾だと知ると、レイナード様はカインを抱きしめて「よかった」とつぶやき、カインに
「よかったな。だけど気持ち悪いから早く離れてくれ」
と窘められていた。
遅めの夕食をかきこむと、ルシードはすぐにマーガレットへのプレゼントの製作に取り掛かると言ってレッドリザードの尻尾を抱えて出て行った。
ほかに誰もいない食堂で、マーガレットもこの場にいないため、ようやく今回の件について残りの三人にネタばらしすると、
「なあんだ、略奪の意味が全然違うじゃないの」
とリリーが呆れ、レイナード様とカインは急に脱力して上体を背もたれに預けた。
レイナード様がひどく取り乱していたのは、わたしがレイナード様との婚約破棄を狙って、ルシードと「既成事実」を作るために逃げ出した挙句、赤ちゃんを連れて帰って来たと勘違いしたためだと聞かされて、今度はわたしのほうが驚いた。
何でそうなるの!?
ゴソゴソ動く麻袋の中身がレッドリザードの尻尾だと知ると、レイナード様はカインを抱きしめて「よかった」とつぶやき、カインに
「よかったな。だけど気持ち悪いから早く離れてくれ」
と窘められていた。