【番外編】円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
「シア、疑ったりして悪かった。大体、昨日の今日で子供なんて生まれるはずないのに、どうしてシアのことになるとこうも馬鹿になってしまうんだろう」
「それは恋の病ってやつだろう?それだけステーシアちゃんを溺愛しているってことだよ」
うなだれるレイナード様の肩にポンと手を置いてカインが慰めて、わたしとリリーも、うんうんと頷いた。
どうやらこの病気は男性のほうがかかりやすいらしい。
先日結婚したばかりのレオンお兄様も、この病気のせいで新妻のマリアンヌの前ではどうしようもなくポンコツだ。
「時間がなかったとはいえ、よく説明もせずに飛び出して行ったわたしがいけないの。心配かけてごめんなさい。待っていてくれてありがとう、レイ」
できればずっと、その病気にかかり続けていて欲しいと願うのは、王太子妃としては失格だろうか。
レイナード様の横に座り直して手を握ると「シア、お疲れ様」と言う声と共にレイナード様の綺麗なお顔が、すぐ目の前に寄せられて…。
「さてと、俺は先に失礼するよ」
「わたしも小説を書かないと!いつもネタの提供ありがとう、じゃあお先」
カインとリリーが同時に立ち上がり、わたしたちに手を振りながら食堂を出て行った。
もしかして気を遣わせてしまったかしら。
二人を見送っていると、長い指で顎を掬われた。
「シア、よそ見はダメだよ」
唇がそっと重なった。
「それは恋の病ってやつだろう?それだけステーシアちゃんを溺愛しているってことだよ」
うなだれるレイナード様の肩にポンと手を置いてカインが慰めて、わたしとリリーも、うんうんと頷いた。
どうやらこの病気は男性のほうがかかりやすいらしい。
先日結婚したばかりのレオンお兄様も、この病気のせいで新妻のマリアンヌの前ではどうしようもなくポンコツだ。
「時間がなかったとはいえ、よく説明もせずに飛び出して行ったわたしがいけないの。心配かけてごめんなさい。待っていてくれてありがとう、レイ」
できればずっと、その病気にかかり続けていて欲しいと願うのは、王太子妃としては失格だろうか。
レイナード様の横に座り直して手を握ると「シア、お疲れ様」と言う声と共にレイナード様の綺麗なお顔が、すぐ目の前に寄せられて…。
「さてと、俺は先に失礼するよ」
「わたしも小説を書かないと!いつもネタの提供ありがとう、じゃあお先」
カインとリリーが同時に立ち上がり、わたしたちに手を振りながら食堂を出て行った。
もしかして気を遣わせてしまったかしら。
二人を見送っていると、長い指で顎を掬われた。
「シア、よそ見はダメだよ」
唇がそっと重なった。