【番外編】円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
ルシードがマーガレットのために魔法を付与した、目の疲れや肩こりを解消する生地が完成したのは、その三日後のことだった。
素材に血行促進のレッドリザードの尻尾だけでなく、視力の良さに着目してグリフォンの羽も加え、それをさらに目に良いとされるビルベリーの溶液の中に入れた状態で薄い生地に付与したらしい。
詳しいことはわからないけれど、三種類の素材を使って全ての効果を最大限に、そして布全体に均一に魔法付与するという作業はかなり難しいらしい。
鑑定では星3の魔導具師、学院でも天才ともてはやされ、すでに魔導具師として仕事もしているルシードが何度も試行錯誤を繰り返してようやく完成にこぎ着けたというぐらいだから、相当なのだろう。
そして、学院の中庭のベンチでリリーとマーガレットの三人でおしゃべりに花を咲かせている時だった。
ちなみにこの場所は、わたしとレイナード様の「定位置」であるため、ほかの生徒がたむろすることもなく人影がまばらで、ここにマーガレットを連れてくるからと事前にルシードとは申し合わせをしておいたのだ。
近寄ってくるルシードに気づいたマーガレットは、当然わたしに用があるのだろうと思い込んでベンチから立ち上がりルシードに譲る素振りを見せた。
ルシードがそんなマーガレットの手をそっと握る。
「マーガレットさん、僕は魔導具科のルシード・グリマンです」
きょとんとして「はい、知っています」と答える、何もわかっていなさそうなマーガレットの様子に、リリーと顔を見合わせて大丈夫かしら?と目配せしあった。
「今日はあなたにお話ししたいことがあるんです。一緒に来ていただけますか」
「はい…何でしょうか?」
ルシードに手を引かれながら戸惑った表情でこちらを振り返るマーガレットに、笑顔で手を振った。
素材に血行促進のレッドリザードの尻尾だけでなく、視力の良さに着目してグリフォンの羽も加え、それをさらに目に良いとされるビルベリーの溶液の中に入れた状態で薄い生地に付与したらしい。
詳しいことはわからないけれど、三種類の素材を使って全ての効果を最大限に、そして布全体に均一に魔法付与するという作業はかなり難しいらしい。
鑑定では星3の魔導具師、学院でも天才ともてはやされ、すでに魔導具師として仕事もしているルシードが何度も試行錯誤を繰り返してようやく完成にこぎ着けたというぐらいだから、相当なのだろう。
そして、学院の中庭のベンチでリリーとマーガレットの三人でおしゃべりに花を咲かせている時だった。
ちなみにこの場所は、わたしとレイナード様の「定位置」であるため、ほかの生徒がたむろすることもなく人影がまばらで、ここにマーガレットを連れてくるからと事前にルシードとは申し合わせをしておいたのだ。
近寄ってくるルシードに気づいたマーガレットは、当然わたしに用があるのだろうと思い込んでベンチから立ち上がりルシードに譲る素振りを見せた。
ルシードがそんなマーガレットの手をそっと握る。
「マーガレットさん、僕は魔導具科のルシード・グリマンです」
きょとんとして「はい、知っています」と答える、何もわかっていなさそうなマーガレットの様子に、リリーと顔を見合わせて大丈夫かしら?と目配せしあった。
「今日はあなたにお話ししたいことがあるんです。一緒に来ていただけますか」
「はい…何でしょうか?」
ルシードに手を引かれながら戸惑った表情でこちらを振り返るマーガレットに、笑顔で手を振った。