車窓を流れる雨粒のように
〔太陽side〕

アパートも入居日も決まり、月をこっそり寮に泊めていたときのこと。

一緒に寝ていた月の呼吸が急に荒くなり、手も痙攣し始めた。

俺は名前を呼びながら、手を握ることしかできなかった。

過呼吸が治ると月はトイレに行きたいと言いだした。

いつもなら、トイレ行ってくるねと1人で行くのに、今日は何かが違った。

月の足は動かなくなっていた。

俺はすぐに月を抱き上げ、トイレに座らせると、ドアにもたれて立っていた。

月の苦しそうな姿を見るのはとても耐えられなくて、月が俺の前からいなくなるんじゃないかって怖かった。

手を握り、名前を呼び続けることしかできなかった自分が情けなくて、やるせない気持ちでいっぱいだった。

こんなに辛いなら出会わなければ良かったと一瞬思った。

でも、誰よりも明るくて、笑顔が可愛くて、愛しい月を失いたくないと思った。
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