愛人~アイレン~
なんて、頼もしいのだろう。


「凄く、頼りになる!!」
「まあね!!」


この時は、本気で頼りになると思ったんだ。
真司は自立していて、優しい。
そう、思っていた__


□□□


「なんだか、眠くなってきたね……」
「う、ん。ベッドで寝たい」
「じゃあ、ホテル行く?
俺、何もしないし、別々に寝るから」


頷いた私。てっきりラブホに行くかと思っていたのに、彼の向かった場所は有名なホテルのスイートルームで一泊すると二人で十万くらいする。


自分じゃこんなホテルに泊まる余裕なんて無いから、真司が別次元の人に思えてしまう。


「し、真司」
「ん?」
「普通のホテルで良かったのに……」
「幸と最初に泊まるホテルだから!」


大人の余裕を感じてしまう。
……年上って、良いかも。


「ありがとう」


この日、別々のベッドで横になった。
言葉通り私に手を出そうとしない真司。それでも、寝る間際まで楽しそうにしてくれた。


もしかしたら、今まで私は愛されていなかっただけなのかも知れない。


でも、真司は私を本気で愛してくれる。
そう思ったら、長かった人生の中初めて安堵出来た気がしたんだ__

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