愛人～アイレン～
「じゃあ、行こうか！！」
「うん！」


返事を返すと車が走り出し、真司を家まで案内した。


動揺した様子など見せない真司。
もし、私が真司の親に挨拶にいくのならめちゃくちゃ動揺しちゃうよ。


見慣れた風景が流れて行き、私の育った家が目に入った。
ここを見ると萎縮してしまう。
緊張して口数が減っている、私の手をギュッと握ってくれる真司。


私に降り注がれるのは、思いやりと優しさ。


コンクリートで整備された敷地内に車を停めると、車内から降りた。


「よし！」


私の立つ場所まで来て、手を握ってくれる。
そのままで、玄関に向かう。
本当に、昨日会ったばかりに感じない。
昔から知っていたかのような、求めていたかのような優しさにホッコリ出来る。


真司となら何でも出来る気になれるから不思議だ。そんな気分になりながら、インターフォンを押した。


家の中がザワザワとして、玄関が開く。


「初めまして。今井真司と言います！
幸さんとお付き合いしたいので、挨拶に来ました！！」


そう言うと、深く頭を下げる真司。
私と付き合う為にここまでしてくれるなんて、何て真面目な人だろう。

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