愛人~アイレン~
「家の中にどうぞ!」


真司を受け入れないと思っていたのに、速攻で家の中に案内する母親。


真司の真面目な雰囲気に、自立している感じが伝わったのだろうか。


リビングに移動するとソファーに案内され、お茶を入れる母親に近付く真司。


「これ。つまらない物ですが、お土産です」
「あら、ありがとう!!」


普通の様子の母親にビックリしてしまう。
その後、真司は母親と仲良くなって夕方まで家に居た。


仕事から帰って来た父親が何事かと言わんばかりに、室内を見渡す。
そんな父親にご機嫌な様子の母親が近付いた。


「この子、真司君ていうの。幸の彼氏なんだって!」
「真司君は、仕事は何をしているんだ?」


ゆ、油断していた。
私の父親は何でも肩書きで評価する。


「仕事なら、父の会社を手伝ってます!
そのうち、受け継ぐ予定なもので!!」
「親はなんの仕事をしているんだ?」
「不動産を経営をしています」


何故か、目が優しくなる父親。
小さい時からこの人のこういう所が大嫌いだった。


にしても、真司の苗字は今井。
この辺の不動産と言えば、今井不動産で有名だ。
真司ったら、本当にお坊ちゃまだったなんて……
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