愛人~アイレン~
広いキッチンに立つと、背筋がピンと伸びた感じがする。


「料理苦手だけど、頑張るね!!」
「自分のペースで作ってくれたら良いよ」


料理なんてほとんど作った事が無い。でも、真司の為なら頑張りたい。


この日は布団を二組敷いて横になった。
真司と至近距離で眠る。


「ねえ、真司……」
「ん?」
「手……。繋いでも良いかな?」
「良いよ」


布団から手を出すと、真司の方向に手を伸ばす。
私の手をギュッと握ってくれる真司。
それだけで幸せだった。


良く考えたら、真司は私に色々してくれている。
それなのに、私は真司に何もしてあげていない。


「ねえ、真司」
「どうした?」
「わ、私が真司に何かしてあげれる事無いかな?」
「ずっと一緒に居て……」


真司の言葉が嬉し過ぎる。
キュンキュンしながら、布団から起き上がると真司の唇にバードキスをした。


「嬉しい……」


そう言って、顔を真っ赤にする真司が愛おしい。でも、こんな事をしても私に一切手出ししない真司に不安になってしまう。


「ねえ、真司……」
「ん?」
「私って、女として魅力ないかな?」
「そんな事無いよ!!」
「でも、真司ったら私に一切手出ししない……」

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