愛人~アイレン~
今まで、こういう行為は沢山して来た。


最低だと思われるかも知れない。だけど、今から言う事は紛れない真実。


私は、寂しいと誰かに抱かれていたんだ。
身体の熱や触り心地を感じ、抱かれている間は寂しさが吹っ飛んだ。


でも、それは、寂しさを一瞬だけ埋める方法でしか無かったんだ。


やる事を終え、私の隣で爆睡する男を目の前にすると虚しさだけが心に引っかかった。


でも、真司は私を寂しくさせなかった。


終わってからもキスを交わし、手を握ったまま離さない。


不思議だね。


今までの私の心は、カサカサに乾いていたのに真司に大切にされて潤ってゆく。


「幸」
「ん?」
「明日は家具揃えよ!」
「仕事じゃないの?」
「幸と一緒に居たいから……。
幸い家の手伝いだから、多少の融通効くし」


嬉しい__


私も、真司と離れたくないと思っていた。


「うん!」
「明日は幸の気に入る家具を探そう!」
「嬉しい!」


甘い、甘い、砂糖菓子のような生活に心踊らせながら眠りに付いた。


□□□


久しぶりに、アラームが鳴る前に目が覚めた。
横には、幸せそうな寝顔の真司が横になっていたから抱き締める。
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