愛人~アイレン~
この子が健の子供だったら、嬉しいのに。
そんな事を本気で考えた。


昨日準備していた服に着替え、健の家に向かう。


バスに乗って、電車に乗って一時間で健の家の最寄り駅に着いた。


普段の私はお出かけなんてしないで、ずっと家に引きこもっている。


健が居てくれるから、出掛ける事が出来るんだ。


数回は通った健の家に向かうと、インターフォンを鳴らす。


「健!着いたよ!暑い!」


外は猛暑で汗がダラダラと止まらないし、呼吸するのもシンドイ。


「中に入って!」


部屋の中に入ると冷えた空気が身体の熱を吸い取ってくれる感じがする。
涼しい。


「はい!お茶買ってたから飲んで!!」


健にお茶を渡され一気飲みしたい衝動に狩られたが、可愛く思われたい為にチビチビ飲んだ。


身体にまとわりついていた汗も引き、肌はサラサラ。


「ねえ、健。
そろそろ指輪買いに行かない?」
「俺よくよく考えてみたんだけど、指輪は結婚の時に俺が買う!」


健が指輪を買ってくれる。
その事実が何より嬉しい。


「じゃあ、今日は何買おうか?」
「俺、欲しいネックレスがあるんだ!!」


そう言って、健が見せてくれたのは大きな土星みたいな形なネックレス。
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