愛人~アイレン~
お金が欲しい__
健が向かった場所は古着屋。


正直、ブランド物の服を強請られるんではないかとビクビクしていたから溜息を漏らす。


「健」
「ん?」
「古着でいいの?」
「さっきお金使わせちゃったし、服代抑えたくて!」


もし、健が高い服屋に行ってたら嫌になったかも知れない。
健は私の事を考えてくれている。
そう考えたら安心出来た。


古着屋に辿り着くまでに汗ばんだ肌を、涼しい店内で癒した。


「健!Tシャツ見ようか!?
有ったら便利だよ!!」
「うん!」


様々なカラーのTシャツが色事に別れていたが、健の選ぶ物は黒色ばかり。


ふとした瞬間に、健の好みが知れて嬉しくなってしまう。


Tシャツにチノパン、短パンと健が気に入った商品を買い物カゴに入れていった。


「本当、この店安いね!」
「うん!!」
「そうだ!」
「ん?」
「俺が幸に似合いそうな服選んでも良いかな?俺好みの服を着てる幸が見たい」


一ミリで良いから健好みの女の子になりたい__


「え、選んで欲しい……」
「なら、地雷系!!」


じ、地雷系は知っているけど私もう三十過ぎてるよぉぉぉ。


「私みたいなおばさんが地雷系なんかしたら、痛い人になっちゃうよ……」
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