愛人~アイレン~
「早く別れたいよ……。で、も……」
「お金も貰ったんだし別れよう!」
「せめて、あと一回はもらわなきゃ生活していけないよ……」



言葉にして気付いた。私は、健に対してなんて残酷な事を言ったのだろう。



「だよね。
俺が甲斐性なしで幸に迷惑を掛けてごめんな……」
「た、健は悪くないよ!」
「でも、俺の稼ぎが悪いから」
「……」


そんな事ないよ。その一言が言えなかった。


沈黙が続きなんて言うべきか迷っていると、玄関の扉が開く音がして電話を切る。


数時間後、健にメッセージを送っても返事が帰ってくる事は無かった。
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