愛人~アイレン~
私が寝落ちした事を知らない健は、何があったか心配している様子だ。
しかし、最後のメッセージを見て血の気が引いて行く。


━━俺には生活力が無い
幸の事大好きだけど、俺が関わると幸とお腹の子が不幸になってしまうから幸せになって下さい━━


その内容はまるで別れのメッセージで涙が止まらない。


健が居たから私は頑張って来れた。
健が居なきゃまた前の状態に戻ってしまう。


頭の中はパニック状態で健に電話を掛けた。


拒否られているんじゃないか?


不安になって涙が出た瞬間、健への電話が繋がった。


「幸……、どうしたの?」
「健!私と別れるつもりでしよ!?」


お願いだから否定して欲しい。なのに__


「あ、ばれた?」
「どうしてそんな事言うの!?」
「だって、俺が居たら二人を不幸にしてしまう……」


二人。そう言われて、気持ちふっくらした感じのするお腹をさすった。


「私、健が居ないと不幸だ、よ……」
「そう」


なんだか、冷たい健の声に不安が高まってゆく。


「わ、私を一人にしないでよ……」
「幸は一人じゃないよ」
「ほ、本当!?」
「幸のお腹の中には赤ちゃんが居る……」
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