愛人~アイレン~
「いいよ__」


真司が優しく笑う。でも、もし、自分が利用されていると知ったら流石に怒るだろう。


「私ね……」
「どうしたの?」
「私ね、家から出たくて真司と一緒に住みたいって思ったの!!」
「家が嫌なの?」
「うん……」
「大丈夫?
じゃあ、尚更直ぐにでも家を借りよう!!
……もし、俺が嫌なら一人で暮らしても大丈夫だからさ!!」


真司が嫌なんてそんな事は有り得ない。


「一緒に住みたい……」


私は真司を利用したのに、何故こんなにも優しいのだろう。
気付けば真司の事が好きで、好きで、仕方ない。こんなにも、私の事を理解してくれる人には二度と会えないだろう。


「じゃあ、住もう。
あ、ちゃんと、幸の親にも挨拶しなきゃな!!」
「うん!!」


今までの彼氏で、こんな言葉をくれる人は居なかった。
自ら、親に会うと宣言してくれるなんて、愛されている感を感じる事が出来る。


「明日……て、いうか、もう今日か!!
都合が良いから挨拶したい!!」
「うん。ただ__」
「うん?」
「付き合ってその日に同棲なんて言ったら、心配しないかな?」
「それなら、一年付き合ってる事にしたら良いよ!!大丈夫。俺、幸の親に気に入られる自信あるよ!!」
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