【最恐×辛口ホームドラマ】崩口川(くえくちがわ)
第7話
それから15日後の9月20日の午後2時頃であった。

場所は、西条市新田にあるフジグランにて…

ギンゾウ夫婦は、あつみと一緒に2階のファッションフロアにいた。

ギンゾウ夫婦は、あつみに高級子供服や高級ブランド品を過剰に買い与えた。

かわいいかわいい…

あつみがかわいい…

ギンゾウ夫婦は、幸せいっぱいの表情を浮かべていた。

しかし、その幸せもこの日の夕方にあっけなく終わった。

夕方4時前のことであった。

ところ変わって、ギンゾウ夫婦の家の庭にて…

菜水は、物干しざおに干していた洗濯物を取り込んでいた。

そこへ、となりの家の奥さまが菜水に声をかけた。

「ちょいと菜水さん。」
「あら、おとなりの奥さま。」
「あんたー、そこの離れにいた大学生の女の子はどしたんで?」

奥さまから穂香がいないことを聞かれた菜水は、生ぬるい声で答えた。

「ちょっと…わけあって…他の子に…離れを譲らせた…」

奥さまは、怒った声で菜水に言うた。

「他の子って、誰なん!?」

菜水は、ますます生ぬるい声で言うた。

「だから…義父母の知り合いの家の子どもを預かっているのです…それで、穂香ちゃんは楠のクリーニング工場へ行かせました…」

奥さまは、イヤミ声で菜水に言うた。

「あんたーのシュウトとシュウトメはどこのどこまでいらんことしよんかしらねぇ~」
「義父母さまは、厚意で知人の子を預かっているのです…」
「ウソばあい言われん!!」

奥さまは、よりきついイヤミを込めて菜水に言うた。

「あんたー、知っとったぁ~」
「えっ?」
「あんたーのシュウトシュウトメが預かっている女の子のことよ…」
「それはどういうことでしょうか?」

奥さまは、怒った声で言うた。

「あんたー!!きのうの夜にしよったテレビを見ていないわね!!」
「テレビ…きのうの夜にしよったテレビって…トーダイ生が出演していたクイズ番組ですか?」
「チャンネルが違うわよ!!テレビ愛媛(地デジ8)でしよった公開捜索番組をいよんよ!!」
「えっ?しよったかなぁ…うちらはその時間『ドリフ大爆笑』(セレクション)をみんなで見ていたわ…家族みんなで大笑いしていたわよ。」
「それはBSフジでしよった方よ!!あんたーらはよぉこんな時ノンキに笑っていられるわね!!」
「奥さまは、うちらになにが言いたいのですか?」

奥さまは、より厳しい声で菜水に言うた。

「あんたーね!!時と場合によっては、誘拐罪または誘拐ほう助の容疑でしょっぴかれるわよ!!」

それを聞いた菜水は、顔が青ざめた。

「それ、どういうわけなのですか!?」

奥さまは、よりきついイヤミを菜水に言うた。

「あんた知らんかったん?今から8年前に松山市で赤ちゃんが誘拐された事件があったのよ!!」
「(おどろき声で)8年前に松山で誘拐事件が発生したって!?」
「そうよ…その時、あつみちゃんは生後1ヶ月だったかしら…現場は、天山のイオン(スタイル)だったと思うけど…両親がほしいブランド品に夢中になっている間に、ベビーカーに乗っていたあつみちゃんがユーカイされたのよ…ユーカイした容疑者夫婦は、知人の家に助けを求めた…容疑者夫婦の知人夫婦は梶谷の家の夫婦だったかしら…アタシねえ…あの時聞いていたのよ…」
「聞いていたって…」
「あんたのシュウトシュウトメが、梶谷の夫婦と容疑者夫婦と隠ぺい工作していたことを録音したんよ…その録音テープを近いうちに(テレビ愛媛の)支局へ持って行くけん…支局にいる知人は、元警視庁の警官よ…」

それを聞いた菜水は『やめてー!!』と叫んだ。

すると、奥さまは菜水にこう言うた。

「そう?ほんならやめとくわ…その変わりに…貸してほしいものがあるのよ…」
「貸してほしいものって?」
「あんたー、スマホ2台持っているのでしょ?」
「えっ?」
「全く使ってない方でいいから…貸して。」
「だから、全く使ってない方(2台目は、ファーウェイ製のアンドロイド)でいいから貸して…」
「だから、なんで貸さないといけないのですか!?」
「孫がネットゲームしたいといよんよ…孫が使っていたスマホは嫁が取り上げたのよ…」
「はぐいたらしいわね!!」

(バシャッ!!)

菜水は、ボーフラが入っているバケツの水をとなりの家の庭にまき散らした。

となりの家の洗濯物にボーフラが飛び散った。

奥さまは、激怒した。

「あんたー!!なんてことするのよ!!」
「奥さまがアタシにスマホ貸してと言うからボーフラをまき散らされたのでしょ!!やっつけてやる!!」

(ビュー!!ガシャーン!!)

菜水は、手当たり次第にあった石をとなりの家の窓ガラスに投げつけた。

「なんなのよ一体もう…ああ!!助けて~」

奥さまは、家の中へ逃げ込んだ。

菜水は、大きな石をとなりの家に投げつけてトドメをさした。

大きな石は、風呂場の外に設置されているダイキンのエアコンの室外機に直撃した。

(グシャッ!!)

菜水は、プンとした表情で家の中へ逃げ込んだ。

その日の夕方6時過ぎであった。

太郎がものすごくつらそうな表情で帰宅した。

この日、太郎は勤めを休んで病院に検査に行ってた。

太郎は、菜水に『レントゲンに引っかかった…』と言うた。

「レントゲンに引っかかったって?」
「ああ…胃に…大きな陰が見つかった…末期のガンのうたがいがあるので、(四国)がんセンターへ行けと言われた。」
「そんな…」
「明日、精密検査を受けに行く…伝えることはそれだけ…オレ、ノミに行く…」

太郎は、菜水に精密検査を受けに行くと言うたあとそのまま家出した。

時は、夜8時過ぎのことであった。

家の広間にギンゾウ夫婦とあつみと菜水の4人がいた。

麗斗は、まだ帰宅していなかった。

テーブルの上には、菜水が作った晩ごはんが並んでいた。

太郎が家を出たあと行方不明になったことを菜水から聞いたギンゾウ夫婦は、ものすごく不安な表情を浮かべていた。

菜水は、太郎の中学高校時代の友人知人や職場の人の家に電話をかけていた。

ギンゾウ夫婦の横にいるあつみは、泣きそうな声で言うた。

「ねぇ~お腹すいたぁ~」

ともえは、やさしい声であつみに言うた。

「ごめんね…もう少しだけガマンしてね…菜水おばちゃんの電話がまだ終わっていないのよ。」

ギンゾウは、イライラ声で言うた。

「オーイ、まだなのか!?」

ギャラクシー(スマホ)の電話を切った菜水は、つらそうな声でギンゾウに言うた。

「義父さま、もうしばらく待ってください!!」
「もうしばらくって、どれくらい待てばいいのだ!?」
「あと10軒かけます!!」
「はぐいたらしいのぉ!!はよごはん食べたいねん!!」
「ですから、あと10軒終えるまで待ってください!!」

なんなのよ一体…

菜水は、つらそうな表情で太郎の友人知人の家に電話した。

義父母さまたちが晩ごはん食べたいといよんのに、ダンナはどこへ行ったのよ…

電話が残り8軒になった…

電話は、太郎の高校時代の後輩の家につながった。

「もしもし…(後輩さま)のお宅でしょうか…壬生川の菅野ともうします…えっ?来られてるって…すみませんけど、主人に帰宅するように伝えていただけますか…うちは困っているのです…晩ごはんの時間になっても帰宅していないので困っているのです!!…もしもし、それはどういうことなのですか!?」

受話器ごしにいる後輩さまのおとーさまがあつかましい声で『家に帰りたくないといよる気持ちがわからんのか…』と言うたので、菜水は思い切りブチ切れた。

「困ります!!力づくで帰るように説得してください!!…はぐいたらしいジジイね!!そんなにお宅のごはんがいいのであれば2度と作らないと言うてください!!」

(ガチャーン!!)

「キーッ!!」

ブチ切れた菜水は、スマホをエプロンのポケットにしまったあと、両手で髪の毛を思い切りかきむしった。

時は、深夜11時過ぎであった。

場所は、大曲川の近くにある神社にて…

神社の境内には、麗斗と行方不明になっていた温彦がいた。

麗斗と温彦は、ナイトクラブの女をめぐってトラブルになった。

麗斗がオキニの女を温彦がドロボーした…

そのことをめぐって、大ゲンカになった。

「オドレよくもオレの女をドロボーしたな!!」
「こらえてくれぇ~」
「なんでオレの女をドロボーした!?」
「さみしかったんだよぅ~さみしかったからつい…ギャー!!頭が~」

麗斗は、鉄パイプで温彦の頭を殴りつけた。

温彦は、その場に座り込んで震えていた。

「頭が割れる…助けてくれぇ~…グワーッ!!」

麗斗は、温彦をナイフでズタズタに刺して殺した。

その現場をヤクザの男ふたりに見られた。

「ああ!!梶谷のにいさん!!」
「てめえ!!よくもにいさんを殺したな!!」

麗斗は、その場から逃げ出した。

ヤクザの男ふたりは、麗斗を追いかけた。

ところ変わって、崩口川の河口付近にて…

ヤクザに追われていた麗斗は、無我夢中で逃げ回っていた。

その時であった。

(ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!)

麗斗は、待ち伏せていた男が持っているマシンガンで撃たれた。

「わあああああああああああああああ!!」

(ドボーン!!)

その後、数人の男が河口に手榴弾を投げ込んだ。

次の瞬間…

(ドカーン!!)

河口付近で、大きな爆発が発生した。

同時に、麗斗の身体がバラバラになった。

その頃であった。

ところ変わって、ギンゾウ夫婦の家にて…

菜水のライン電話に電話がかかった。

電話は、警察署からであった。

太郎が知人の家で暴れて、家をめちゃくちゃにしたので警察に逮捕された。

知らせを聞いたギンゾウ夫婦は、大パニックを起こした。

その時であった。

(ガシャーン!!ガシャーン!!)

表で、ガラス窓が割れる音がした。

それから数秒後…

(ドカーン!!ドカーン!!)

「ギャー!!」

ヤクザの男たちが投げ入れた手榴弾が爆発した。

同時に、大火災が発生した。

深夜11時50分頃であった。

ギンゾウ夫婦の家と周辺の家数軒が激しい炎で燃えていた。

周辺の住民のみなさまが、家から次々と飛び出して助けを求めていた。

そんな中で、家出して行方不明になっていた穂香がやって来た。

穂香は、ぼう然とした表情で火災現場を見つめていた。

【終】
< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

【ミセスのガマンフマン】ミセスのゲキジョー

総文字数/70,709

実用・エッセイ(その他)14ページ

表紙を見る
佐伯達男のテレビのハナシ

総文字数/75,614

実用・エッセイ(その他)30ページ

表紙を見る
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop