砂浜に描いたうたかたの夢
第3章
曾祖父の一張羅
曾祖父の家の縁側で、星のない空を眺めながら夜風に当たる。
お盆前の8月中旬。ほぼ毎日熱帯夜が続く夏真っ盛りの時期だけど、旧暦ではもう秋らしい。
目を閉じて、庭に植えられた草木から聞こえる虫の声に耳を澄ます。
昨日は静まり返ってたのに、今日は大合唱してるな。鳴いているのは……スズムシとコオロギ? 代表的なやつしか知らないから、あとは分かんないや。
「凪くん、スイカ食べるかい?」
すると、後ろの障子が開き、おぼんを持った曾祖父が顔を覗かせた。
「うん! けど、なんか多くない?」
「あぁ。特大サイズを買ったらしくてな。良かったらっておすそ分けしてもらったんだよ」
隣に腰を下ろしてスイカが乗ったお皿を渡してきた。
程よく厚みがある手のひらサイズの三角形が3つ。曾祖父いわく、親戚にもらったのだそう。
美味しそうだけど、全部食べきれるかな。まだ晩ご飯の満腹感が残ってるからちょっと心配。
お皿を膝の上に置き、両手でそっと持ち上げて先端部分にかぶりついた。
お盆前の8月中旬。ほぼ毎日熱帯夜が続く夏真っ盛りの時期だけど、旧暦ではもう秋らしい。
目を閉じて、庭に植えられた草木から聞こえる虫の声に耳を澄ます。
昨日は静まり返ってたのに、今日は大合唱してるな。鳴いているのは……スズムシとコオロギ? 代表的なやつしか知らないから、あとは分かんないや。
「凪くん、スイカ食べるかい?」
すると、後ろの障子が開き、おぼんを持った曾祖父が顔を覗かせた。
「うん! けど、なんか多くない?」
「あぁ。特大サイズを買ったらしくてな。良かったらっておすそ分けしてもらったんだよ」
隣に腰を下ろしてスイカが乗ったお皿を渡してきた。
程よく厚みがある手のひらサイズの三角形が3つ。曾祖父いわく、親戚にもらったのだそう。
美味しそうだけど、全部食べきれるかな。まだ晩ご飯の満腹感が残ってるからちょっと心配。
お皿を膝の上に置き、両手でそっと持ち上げて先端部分にかぶりついた。