砂浜に描いたうたかたの夢
再び図星を突かれ、こくりと頷く。

一花の心を振り回したくない。けど……真実を伝えないまま終わるのも嫌だ。



「それなら、自分の心の準備ができた時にしなさい。話し手が不安定だと、相手にも伝わってしまうからね」

「……うん。ありがとう」



さすがだな。人生経験豊富なだけあって、説得力がある。

ひいじいちゃんの言う通り、話し方が曖昧だと、相手も趣旨がなんなのか理解しにくい。

パスワード変更の話も、どう誤魔化そうかと思ってたからか、疑いの目で見られちゃったし。

それも更新ができない理由ではあるけれど、包み隠さず話したい。


……時間は、待ってくれないから。
後悔しないためにも、一花の帰る日が来る前に腹をくくろう。



「……あ、そうだ。明日、その子の宿題の手伝いで、一緒に出かけることになったんだけど……」

「そうなのか⁉ なら、ひいじいちゃんの服を着ていきなさい! ちょうどいいのがあるんだよ」

「えっ」



そそくさと立ち上がり、早足で部屋に戻っていった。
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