砂浜に描いたうたかたの夢
しかし……。



「そっちがぐーぐー寝てる間、こっちは毎朝外に出て観察してるの!」



今は7月下旬の夏真っ盛りの時期。うだるような暑さの中、長時間外にいるのはとても危険。

なのでこの宿題は、気温が上がる前の、比較的涼しい朝の時間にやっている。


その日の天気によっては、まだみんなが寝てる時に家を出ることもあるから、知らないのは当然なんだけど……。



「お父さんだって、仕事終わりにビール飲んでるんだから、私も好きな物くらい食べたっていいでしょ⁉ それがダメなら気分転換にどこか連れて行ってよ!」



もう既に、身も心も疲れ果てていて、限界寸前だった。

残った体力で叫ぶように言い放ち、アイスの棒をゴミ箱に捨てる。



「……そうか。それなら、旅行に行くか?」

「…………え」



頭に血が上っていたのもあり、反応したのは3秒後。



「どこに?」

「ひいおばあちゃんち」



いや……それ、旅行じゃなくて帰省じゃない?

ツッコミを入れる気力もなく、ジト目で父の顔を見つめる。
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