砂浜に描いたうたかたの夢
高偏差値の進学校で成績は学生10位。片や平均以下の偏差値の学校で成績は中の上。
前者の一花からしてみたら、後者の俺は大した人間じゃないかもしれない。
けど、目の前で自分の過ちを責めている人に、言葉を選ばず答えるほど馬鹿ではない。
かといって、大切な人に心を閉ざして本音を隠したというわけでもない。
確かに辛いとは感じたけれど、絵を見せてもらっていた時は本当にテンションが上がっていた。
今までスマホ画面を通して見ていた絵を間近で観賞できて、その上貴重なラフ段階の絵も見ることができたから。
だから……追い打ちをかけないように、半分優しい嘘をついたんだ。
雲間から月が顔を出し、再び海岸に明るさが戻った。
「明日で最後か……」
本当は、今日話すつもりだった。
いつも待ち合わせている砂浜で、全てを打ち明けようと。
だけど……。
『何があったの……?』
『っ……うぅっ……』
瞳を真っ赤に充血させて小さく嗚咽を漏らす姿が頭から離れなくて、言い出せなかった。
仲直りしたから大丈夫だと言われても、結果的に喜んでもらえたからと励まされても、罪悪感は消えるどころか増すばかり。
だって……どう考えたって、一花が深く傷ついた原因は俺のせいなんだから。
前者の一花からしてみたら、後者の俺は大した人間じゃないかもしれない。
けど、目の前で自分の過ちを責めている人に、言葉を選ばず答えるほど馬鹿ではない。
かといって、大切な人に心を閉ざして本音を隠したというわけでもない。
確かに辛いとは感じたけれど、絵を見せてもらっていた時は本当にテンションが上がっていた。
今までスマホ画面を通して見ていた絵を間近で観賞できて、その上貴重なラフ段階の絵も見ることができたから。
だから……追い打ちをかけないように、半分優しい嘘をついたんだ。
雲間から月が顔を出し、再び海岸に明るさが戻った。
「明日で最後か……」
本当は、今日話すつもりだった。
いつも待ち合わせている砂浜で、全てを打ち明けようと。
だけど……。
『何があったの……?』
『っ……うぅっ……』
瞳を真っ赤に充血させて小さく嗚咽を漏らす姿が頭から離れなくて、言い出せなかった。
仲直りしたから大丈夫だと言われても、結果的に喜んでもらえたからと励まされても、罪悪感は消えるどころか増すばかり。
だって……どう考えたって、一花が深く傷ついた原因は俺のせいなんだから。