砂浜に描いたうたかたの夢
拳に力を入れていると、足元に波が押し寄せ、書き並べた夢が跡形もなく消えた。
月の光に照らされている海面を見ると、昼間よりも水位が高くなっている。
そろそろ満潮か……。
『理桜‼ 聞こえるか⁉ 理桜‼』
すると、叫ぶ自身の声と当時の光景が脳内によぎり、頭に痛みが走った。眉間にシワを寄せて目を瞑る。
一花……俺、眠れる獅子なんかじゃないよ。
本当は怖がりで、現実から目を背け続けている臆病者なんだ。
今だってそう。
もういっそのこと、「どうしてパスワードを友達に聞かないの」って、直球で突っ込んでほしいと思ってる。
会えるのは明日が最後だというのに……意気地なしすぎるだろ。
「……嫌い」
痛みが収まり、薄目でゆっくりと腰を上げる。
勉強不足な自分、こだわりが強い自分、自信過剰な自分。全てが嫌い。
だけど、それ以上に嫌いなのは──。
不甲斐ない自分を責めていると、波が足の甲を覆った。行き場のない感情をぶつけるように勢いよく蹴り飛ばす。
綺麗な色をして、穏やかな顔をして──全てを奪っていった海が大嫌いだ。
月の光に照らされている海面を見ると、昼間よりも水位が高くなっている。
そろそろ満潮か……。
『理桜‼ 聞こえるか⁉ 理桜‼』
すると、叫ぶ自身の声と当時の光景が脳内によぎり、頭に痛みが走った。眉間にシワを寄せて目を瞑る。
一花……俺、眠れる獅子なんかじゃないよ。
本当は怖がりで、現実から目を背け続けている臆病者なんだ。
今だってそう。
もういっそのこと、「どうしてパスワードを友達に聞かないの」って、直球で突っ込んでほしいと思ってる。
会えるのは明日が最後だというのに……意気地なしすぎるだろ。
「……嫌い」
痛みが収まり、薄目でゆっくりと腰を上げる。
勉強不足な自分、こだわりが強い自分、自信過剰な自分。全てが嫌い。
だけど、それ以上に嫌いなのは──。
不甲斐ない自分を責めていると、波が足の甲を覆った。行き場のない感情をぶつけるように勢いよく蹴り飛ばす。
綺麗な色をして、穏やかな顔をして──全てを奪っていった海が大嫌いだ。