砂浜に描いたうたかたの夢
「それに、おじいちゃんとおばあちゃんもいるし。1週間もいれば、充分気分転換できるだろう」

「まぁ……」



遠い過去の記憶を呼び起こす。


最後に遊びに行ったの……小学生の頃だっけ。

従兄弟達とテーブルを囲んで宿題をした記憶がある。人数が多かったから、誰が誰かは全然覚えてないけど。

ってことは、9年ぶりに会いに行くのか。



「ただ、平日は仕事があるんでな」

「えっ」

「有給は取るつもりだが、お盆休みに入るまでは先に行っててくれ」

「えええっ⁉」



今度は自分が目を丸くした。

10年近く行ってない曾祖母の家に、私1人で行けだって⁉
スマホで色々調べられる便利な時代とはいえ、難度高すぎない⁉



「もしもし? 姉ちゃん? 今年のお盆だけど……」



ちょっと待って、考え直して。

そう言おうとしたけれど、即行で伯母に電話をかけ始めた。


人の意見も聞かず、勝手に話を進めやがって……。

その姿に腹を立て、怒りに任せてもう1本アイスを食べたのだった。
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