砂浜に描いたうたかたの夢
違和感に気づき、慌てて起き上がって後ろを向くと──青白い顔をした自分が、ベッドの上で静かに眠っていた。


嘘だろ……俺、助からなかったのか……⁉


すると、コンコンコンとノック音が聞こえてドアが開いた。



「お義兄さん……」



入ってきた人物を見た瞬間、充血した祖父の目から再び涙がこぼれ落ちた。

ヒロマサさんと、ヒロコさんと……ひいばあちゃん。



「ごめん、俺が炎天下の中を歩かせたばかりに……っ」

「違う、叔父さんは悪くない。叔父さんのせいじゃないって……っ」



自分を責め始めた大叔父を、父が首を横に振って宥める。

その隣で、涙目の大叔母が曾祖母を連れて枕元にやってきた。



「タダシさんとユキエのところに行ったか……2人によろしくねぇ」



しわしわの手で俺の頬を撫でる曾祖母。
涙は流れていないけれど、瞳はどことなく悲しい色に染まっていた。

それもそうだ。ばあちゃん……実の娘が亡くなって、まだ3年も経っていないんだから。


ごめんね。また来るねって、約束したのに。

親不孝で、祖父母不孝で、曾祖母不孝で……馬鹿な子孫でごめんなさい。
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