砂浜に描いたうたかたの夢
君が遺した贈り物
話し終えると、凪くんはゆっくりと視線を落とした。
8月下旬。今日は彼が亡くなってから48日が経過した金曜日。
両者ともに制服に身を包んだ私達は、誰もいない和室の窓際に腰を下ろして外を眺めていた。
浅浜家の庭に飾られている、鉢に入った花と盆栽。三途の川の世界で見た物が、現実世界で余すところなく完璧に再現されていた。
「一花ちゃんさ、前に俺のこと、眠れる獅子が覚醒したって言ってくれたよね? けど……俺、全然そんなことないよ」
伏せられた目が1回だけ瞬きされて、真っ黒い瞳に私の姿が映る。
「浅はかな言動で大切な人達を悲しませて、大切な人との約束も守れなくて。あげく、一花にもずっと言えずに黙ってた。俺は無鉄砲で臆病で、意気地なしなライオンなんだよ」
「違う!」
自己卑下する彼の声を遮るように否定した。
確かに、大切な人を助けることができなかった。それでいて、大切な人達を悲しみのどん底に突き落とした。
そこだけを切り取ったら、無鉄砲で無茶苦茶な人だと思われるのは仕方のないこと。
8月下旬。今日は彼が亡くなってから48日が経過した金曜日。
両者ともに制服に身を包んだ私達は、誰もいない和室の窓際に腰を下ろして外を眺めていた。
浅浜家の庭に飾られている、鉢に入った花と盆栽。三途の川の世界で見た物が、現実世界で余すところなく完璧に再現されていた。
「一花ちゃんさ、前に俺のこと、眠れる獅子が覚醒したって言ってくれたよね? けど……俺、全然そんなことないよ」
伏せられた目が1回だけ瞬きされて、真っ黒い瞳に私の姿が映る。
「浅はかな言動で大切な人達を悲しませて、大切な人との約束も守れなくて。あげく、一花にもずっと言えずに黙ってた。俺は無鉄砲で臆病で、意気地なしなライオンなんだよ」
「違う!」
自己卑下する彼の声を遮るように否定した。
確かに、大切な人を助けることができなかった。それでいて、大切な人達を悲しみのどん底に突き落とした。
そこだけを切り取ったら、無鉄砲で無茶苦茶な人だと思われるのは仕方のないこと。